たむ

イングリッシュ・ペイシェントのたむのレビュー・感想・評価

3.6
アカデミー賞作品賞他9部門受賞のクラシックスタイルの戦争映画です。
エジプトとイタリアを舞台に、飛行機の墜落事故で生き残った正体不明のイギリス人の患者のドラマを描きます。
『アラビアのロレンス』や『カサブランカ』を思わせる、ハリウッド映画の名作のスタイルで、看護師の視点とドラマも描かれます。
この看護師のドラマも強烈で、反戦のテーマを担わされている印象です。
彼女と関わった人が死んでしまう最初の方の展開はかなりしんどいです。
そこにイギリス人の患者の不倫劇がフラッシュバックされます。
患者の戦争の回想は『ジョニーは戦場に行った』にも近いものがあります。
戦争の起こす悲劇を、クラシック映画の映像スタイルと1990年代後半の流行である語り口のフラッシュバックを活用した映画です。
当時はクラシックスタイルと語り口の新しさの融合があったのかと思いますが、今観るとどちらもクラシックなスタイルとなっているので斬新さというところは少し下がってしまいます。
『ファーゴ』や『シャイン』などを抑えて作品賞に輝きましたし、納得の大作ではありますが、『ファーゴ』の方が今も観られている気はしますね。
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