イングリッシュ・ペイシェントの作品情報・感想・評価・動画配信

「イングリッシュ・ペイシェント」に投稿された感想・評価

raintree

raintreeの感想・評価

4.0
あなたが目にした美しさはすべてあなたの手をすり抜けていく。あなたの見た美しさをあなたはいつでも追い越していってしまうから。そして美しさが静かに息づくほとりを足早に立ち去っていこうとする。やがてあなたの降らせた雨は、湖のように空の青さの先にあなたを映し返す。

映されたあなたの美しさにあなた自身はたぶん耐えられない。美しさはときとして人を凍らせるから。その冷たさですべてを焼き尽くそうとするから。

そんな思いが僕をつかまえるとき、サンドベージュの上空をゆく飛行機と揺れる白いスカーフの映像が脳裏をよぎることになります。『イングリッシュ・ペイシェント』の描きだす痛切な心象風景。



第二次世界大戦中に不倫関係に至った男女。ハンガリー貴族のアルマシー(レイフ・ファインズ)とイギリス人のキャサリン(クリスティン・スコット=トーマス)。2人の関係を知ったキャサリンの夫ジェフリー(コリン・ファース)は、復讐心から彼女を乗せた飛行機でアルマシーめがけて墜落する。夫は絶命しキャサリンは重傷を負う。

彼女を救うためアルマシーは砂漠を横断するものの、スパイ容疑で拘束されてしまう。彼女のもとへ向かいたい一心から彼は国を売る。そうしてキャサリンの元へ戻ってきたものの時すでに遅く、亡くなってしまった彼女をのせて飛行機で彼女の故国へと運ぶなか、撃墜され今は記憶を失い「イギリス人の患者」としてイタリアの野戦病院に収容されている。

そのアルマシーを人生に絶望したカナダ人の看護師ハナ(ジュリエット・ビノシュ)が部隊から離れ単身で看護する。そこへ誤解から彼に恨みをもつ、やはりカナダ人のカラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)がやってくる。アルマシーの記憶が回復するにつれ、彼の過去を知っていくハナとカラヴァッジョ。やがて2人は死にゆく1人の男の過ちを通して生への思いを回復していく。



小学生だったころによく空を見上げていた記憶があります。

夏の日の真っ青な空に立ちのぼる積乱雲をみて、ある種のものごとはそれが行き着く臨界点にまで達したなら、きっと善悪の彼岸ですべての価値が解(ほど)かれるのではないか。そんなことを思っていました。当時はそういう言葉にならない直感がたくさんあり、言語化しないことには僕は世界のなかで立っていられない感覚につかまれ、中学校に入ってからは意識的に言葉と向き合うようになりました。

映画にはそうした直感を満たす作品がいくつかありますが、僕にとっては『イングリッシュ・ペイシェント』もそのうちのひとつです。この作品に描かれる人々はみな、間違った動機に基づいた間違った行いしかしていない。

同じようにたとえばあるレビューが、もしも間違った鑑賞による間違った思いを綴ったものだったとしても、その人がかつて渡っただろう砂漠の風景に白いスカーフがたなびいているならば、その思いは鑑賞という彼岸を超えていく。またそこまでたどり着き還ってきた思いがあるなら、その思いによって映画のもつ世界と鑑賞者のもつ世界はほとんど等しくなる。

僕のまなざしはそうした風景をはっきりと捉えます。けれど僕の目に映っているその美しさに僕は耐えることができない。そんなふうに思う愚かな心にやがて雨が降り、僕の心の水面には映しかえされた美しさだけが残ることになります。

愚かさはときとして、美しさよりも澄みきった水面にその美を映し出します。そして僕は自ら求めるように孤独になっていく宿命から逃れることができない。その愚かさを超えるような美しさに僕はきっと耐えられないからです。
haramouth

haramouthの感想・評価

3.6
「不倫映画」とか「金持ちボンボンのわがまま」とか「ただ死によって美化されてるだけ」とか物言い付けて陳腐化することはできるかもしれないけれど。
戦争、不倫をテーマに据えながらも、鑑賞後は不思議と雨に洗われたようなすがすがしい気持ちを与えてくれる、美しき名作。

悲恋の結末はシェイクスピアの時代から答えが出ていて、<死>がこの物語を美しくしているのは確か。
愛したまま別れた相手への想いを胸に抱きつづけたとして、その愛はいったいどこへ行くんだろう?…。石のように居座って当人を苛むんだろうか。ゆくあての無い愛があまりにも大きいとき、死が救いになると考えてしまうのはあまりに感傷的だし無責任だろうけれど。…。


目で愛を語らせたらピカイチのレイフファインズ、ぶっきらぼうな言葉とは裏腹の好意だだもれ目線がもはや狂気。この熱視線で見つめられたら恋に落ちるか・逃げるかの2択しかないだろうね…。

女が身を引く→憎悪に狂うレイフファインズというムーブ、同じく主演不倫映画の『ことの終わり』の主人公と同一人物?てくらいシンクロしてるけど…振られた男てそういうもんかね?
「愛の形とは」「戦争の醜さ」「人間の出自やナショナリズム」とか色々考えさせられる本作だけど
一番の教訓は「別れ方は大事」てことかもな…。


どうでもいいんだけど、寝取られ夫のコリンファースのどうしようもないダサさ、いつの世もイケメンなのにこの時ばかりは何故こんなにダサいの…。はっ!イケメンコリンファースだと『ブリジットジョーンズの日記』な三角関係になっちゃうからか〜(違う
ww19841221

ww19841221の感想・評価

3.5
NO.65

深い。大人な映画。
1回じゃ理解できない。
2つの時系列の物語が交錯している系のお話。
後半は壮絶で、目を覆いたくなるようなシーンも。。
harema25

harema25の感想・評価

4.0
ススメられて観た。

美しい映画だった。

砂漠の風景と🏜
ジュリエット・ビノシュが。
詩が。

映画館で見たかった景色。
飛行機が飛ぶところも。

タイトルは
「イギリス人の患者」の意味。

ラスト近くで…
その〈意味〉にハッとする…

一番スキなシーンは
ジュリエット・ビノシュが演じるハナが
サプライズに驚き喜ぶシーン。

ススメてくれた人が涙が出た、
というシーンはドコだろう…と
思いながら観た。
グッとくるところはあったけど、
涙は出なかった。

音楽と音響を意識して…
このピアノの旋律は
観客をエモーショナルに導いてるな、と
確認しながら観た。

「イングリッシュペイシェント」が
愛する人の詩…
立ち止まって
聴き入った。

人生を言葉に託した
想いがとても表れていて
深く
感じ入った。

途中、
「ヤメテヤメテヤメテー!」😖と
目を覆いたくなるシーンがあった…

ウィレム・デフォーは…
怖いイメージで苦手だったけど…

『天才たちの頭の中』の
インタビューで
仕事への想いと
意外なコンプレックスが聴けて
一気に好感が持てた💗
素敵でカワイイ人だな
と思った。

『永遠の門』のゴッホ役は
とても似合ってる気がした…
妖怪

妖怪の感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「ここがいい(鎖骨)ここの名は?ここは僕のものだ、アルマシーボスポラス海峡と名付けよう」「所有に反対なのでは?」いやはや…最後のキップの爆発阻止シーンはヒヤヒヤした…最初の方の地雷のシーンもドキドキしたけれども…何に感情移入したのか分からないけど流石にあの洞窟に彼が迎えに行ってお姫様抱っこして出てくるシーンはほろっと涙が…あとシンプルに不憫なコリンファースとテンション高めなウィレムデフォーも見れちゃう!
R

Rの感想・評価

1.5
撮影、音楽のセンスは良いと思うけど、長いし深みがないと感じた
ビノシュにしてはあまり良くないと
樽

樽の感想・評価

-
ペイシェントの意味がわかんなくて一緒に見に行った友達に呆れられた。
マイケル・オンダーチェの小説「イギリス人の患者」をアンソニー・ミンゲラ監督(脚色も)が映画化した絢爛たるラブ・ロマン。
原題:The English Patient (1996)

第二次大戦の末期の1944年、イタリア。
北アフリカの砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶の大半を失って"イギリス人"とされた男(レイフ・ファインズ)が野戦病院に運び込まれる。
戦争で恋人も親友も亡くして絶望にかられていたフランス系カナダ人の看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、彼を爆撃で廃墟と化した修道院に運び込み、一人献身的な看護を続ける。
やがて、謎の男は1930年代後半から1945年までの記憶を少しずつ取り戻し、サハラ砂漠での人妻キャサリン(クリスティン・スコット=トーマス、夫はコリン・ファース)との情熱的な恋とその結末が徐々に明らかにされる……

さらに修道院にやってきた、スパイとされ復讐に燃えるカナダ人(ウィレム・デフォー)と地雷処理班のシーク教徒の男(ナヴィーン・アンドリュース)も絡む。

“泳ぐ人の洞窟”
"モルヒネ"
「殺せないよ。とっくに死んでいる」

古典的でドラマティックなラブ・ストーリー、官能的なラブシーン、そして美しい映像(ドラマティックな砂漠の風景、松明に浮かびあがる壁画、炎に照らされるフレスコ画など)がデヴィッド・リーンの映画を連想させる。
この作品で世界的にブレイクしたヒロインのクリスティン・スコット=トーマスともう一人のヒロイン、ジュリエット・ビノシュ(彼女も魅力的な演技を見せる)の物語を並行させて描くことで、悲劇的な愛の物語は、愛する人を失った心の傷(運命)からの再生(新たな愛)へと繋がっていく。
第2次大戦下の戦場。
記憶を失ったアルマシーが語る恋物語。

冒頭とラストで観られる砂漠のうねりのある表情。
幻想的な風景。
そしてアルマシーがキャサリンを抱きかかえたシーンの美しさ。
風景や衣装。音楽は素晴らしく一級品。

物語は不倫劇を丁寧に描いているため違和感はまるで無し。
というか不倫劇における憎悪などを意図的に出さず、二人の過去とアルマシーを介護するハナに焦点を当てているので、物語がぶれずに最後まで行き着いた。

レイフ・ファインズはこのような物語に抜群に映える存在。
ジュリエット・ビノシュとクリスティン・スコット・トーマスも映像の美しさに負けず劣らず。
この壮大なスケールはオスカーに相応しい貫禄。
一面に広がる別世界の光景を見つつ、主役の男女に移入して、快適な夢の旅をお楽しみください。

そう貴族方に勧めるアナウンスが聞こえてきそうな映画。

ウィレム・デフォーが主役で、ジュリエット・ビノシュがヒロインだったらこんな話や移入のためのうっっっっすい役柄でも大傑作になり得たろうに。
>|

あなたにおすすめの記事