これは驚いた。
林昭、こんな女性が中国にいたのか。
映画を見る前は金子文子を連想していたが、まったく違った、まったくそれ以上だ。

反右派闘争により逮捕され、その後処刑された女性。その獄中で、自らの血で詩を書き記したという。

生きていれば『鳳鳴』（王兵）のような姿を見れたのだろうか。

胡傑監督作品、時系列も内容的にもこちらを最初に見るべきだったかな。50年代末、右派のレッテルを貼られても毅然として自由万歳と叫び続けた女性が書いた詩や文章と、彼女を知る人々のインタビュー。（まだ全然知識ないけど）文革においてかなり女性の存在感が大きい印象があったが、反体制側にも…というよりそちらにこそ強い女性がいた。権力にも集団にも怯むことなく決然と毛沢東を批判し、絶対に転向せず最後は35歳の若さで秘密裏に銃殺されている。獄中であふれ出てくる言葉は自らの血をもって書かれているのだった。キリスト教の信仰が土台にあったとはいえなんという強さだろうか。しかも自らの純粋さ、幼さを省みて「青春の激しい感情は利用される」と気づく、つまり文革を予見している！その聡明さ、そして強さのためがんじがらめにされていく林昭のようすは胸が痛む。正直私には難解な用語も多く、内容も大変にしんどいものだが大変貴重な作品であり、全体主義に立ち向かうための一つの指針となる。アジアンドキュメンタリーズは本当にいいです。

中国にもキリスト教から自由を理解しそれを勝ち取ろうと動いた人がいたのだなぁ。記録が抹殺されているような人のことをよくここまで調べたな…