Jun潤

奈落のマイホームのJun潤のレビュー・感想・評価

奈落のマイホーム(2020年製作の映画)
3.2
2022.11.14

予告を見て気になった作品。
韓国が送る大迫力かつ若干シュールめな都市型パニックムービー。
実際「シンクホール」は社会問題になっているとのことで、日常にも潜んでいる危機というと鑑賞後感もどうなるのか予想がつきませんね。

ソウル、チャンス町に念願のマイホームを購入したドンウォン一家。
隣人のマンスとの関係を始め、順風満帆とはいかない新居での生活。
それ以外にもマンション自体にも欠陥らしき異変が起こり始める。
それでも会社の部下たちを招いて新居祝いをするが、その次の日突如としてマンションは都市直下のシンクホールへと墜落し始める。
果たして地上へ帰還することはできるのかー。

映像はスゴい、うん……。
でも音楽やら描写やら、シリアスに振り切らずになぜかギャグ調で笑わせてくるものだから、どのテンションで観るのが正解なのやらさっぱりという感じ。

日常が突然奈落の底に落ち、そこで救援を待ちながら生き残る術を模索し続けるというディザスターパニックものの王道を行っているお話でしたが、如何せん人数が少なすぎるのと、自宅だから物資は多めにあるのと、あとは言動や演出がコミカルすぎるなどなど、パニック感は薄め。
シリアスな笑いを生み出すことに徹して欲しかったところに、わざわざギャグを突っ込んでしまっていた感じ。

それだけならまだしも、こうした災害で死者を出さないなら徹底的に全員生かす、1人でも死んでしまうのなら臨場感を出す演出や生き残ることへの渇望に繋げるなど、もっとやりようがあったはずなのに、死にそうなところで死なず、実は取り残されていた人がなんの捻りもなく死んでいくなど、題材の割に命が軽視されていた印象が残りました。
それに加えて最後は1人を犠牲にしてでも多くが生き残る道を選択するのだから、生命倫理についてもどういうテンションでいたら良かったのかが分からず仕舞いといった感じ。

唯一の評価ポイントとしては、上述の通り映像、これに関しては絶対日本じゃできないなと思えるほどの、セットやCGの作り込みと崩落シーンの見応えが抜群で、あとはシリアスに徹していた地上の面々と、なんだかんだコミカルに動けている地下の面々の対比でしたかね。
まぁ後者については、死んでしまった子供の追悼もほぼなく、生き残った人たち幸せに暮らしてるねなんて感じで締めていたので、あって無いようなものですが……。
個人的にはエンドロールで流れた主題歌がポップ調過ぎたのも、シリアスな作品を期待し過ぎていたせいでもありますが、コメディとシリアスの境界線を曖昧にした要因だったかと。
Jun潤

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