mitakosama

劇場版 アーヤと魔女のmitakosamaのレビュー・感想・評価

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)
3.0
平日昼しか上映してなくて、終演間近に滑り込みで鑑賞。

スタジオジブリ初のフル3D作品。それだけでも大きなトピックの筈なのだが余り話題にならなかったね。
全体的につまらなくはない。寧ろ面白い要素がスゴい詰まってる作品だったが、それでも中途半端感は否めなかった。

魔女の娘で孤児のアーヤ。謂わば“人タラし”な性格で、調子良く相手に取り入り自分の立ち位置を作る事に長けた強者。こういう非力ながらも、生活力がある強さというのが今作のヒロイン。

で、母親と因縁のあった魔女の夫婦に引き取られる。引き取ったアーヤを可愛がらずこき使う義母ベラ・ガーヤに苦戦しながらも懐柔し懐に入るまでの戦いが描かれる。
義父のマンドレークは更に恐ろしい力があるが、そこまでアーヤには辛く当たらない。がキレるとコワい。

アーヤはジブリヒロインらしからぬ絶妙な性格の悪さなのだが、それがある意味痛快だ。へこたれない強さも魅力。

一方で脚本のアラが目立つ目立つ。
アーヤの母は何故に子供を捨てたのか?
その因縁の先にあった“12人の魔女”とは?
なぜバンド仲間だったアーヤの母とマンドレーク夫妻は仲違いをしたのか?
ネタ振りだけあって何も解決されない。

クリスマスにアーヤの母が現れて唐突に終わる。で“ハッピーエンド”って何も終わってなーーーーい!

あとジブリ作品としてのの立ち位置も中途半端だった。
風立ちぬでスタジオを一旦閉めてしまった事をきっかけに、今ジブリは冬の時代だ。
でも絶っっっっっ対に作品は作り続けないとダメ。ディズニーだって80年代は冬の時代があったんだもん。
色んな監督を起用してコンスタントに作品を発表すれば第二の黄金期は必ず来るんだから。

一方で、吾郎はもうジブリに向かないと思う。個人的に吾郎は演出家としては決して悪くないと思う。だがジブリとの相性は絶対悪いと思う。吾郎はもっと毒のある作品の方が活きるよ。

今作の、鈴木敏夫の手書きのロゴデザインのダサい事ダサい事。あれがこの作品に合っていない事が、そのまんま吾郎との作風との違いを象徴していると思う。
mitakosama

mitakosama