どらどら

本気のしるし 劇場版のどらどらのレビュー・感想・評価

本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)
4.8
- さっきから頭の中でずっと、警報が鳴ってるんです

「本気」
本気ってなんだろう
お金の問題?
結婚すること?
殺せること?
一緒に死ねること?
復讐で仕事まで台無しにできること?

....命を、人生を、懸けられること?

鳴り響く踏切
中からは一人では出られない
誰かの「本気」のみが助けられる
その「本気」はその人すらも救うのだ

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驚異的なクオリティの傑作だ
あらゆる「本気」を示す行為をさまざまな登場人物が随所でする。どれもその人にとっては「本気」だ。
でもそれって本当に「本気」なのか?
土下座してまで帰ってきてくれと言った旦那は?
包丁を持って震える先輩は?
会社の仕事を無茶苦茶にしたみっちゃんは?
「飛び降りる」と脅す社長は?

違う。
彼らの「本気」は他人向けだ。他人に何かを示そうと、求めようとしている。
本気の「本気」は違う。見返りを求めての何かではない。ただ純粋に、うちから湧き出てくるものなのだ。

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乱入者とそれの炙り出す日常の歪さを描き続ける深田晃司監督。原作は未読だが、彼にしか撮れない作品では、と思う。
主演二人も、完璧だ。森崎ウィンはこういう役が実はかなり合うということを証明できたし、土村芳は、脇役が多いイメージだが、あの不気味さで作品自体を「食える」ことを本作は証明したと思う。今後が楽しみ。

長いというのも全く気にならない。
むしろ、こんなに楽しめていいの?という感じ
とにかく徹底して肉体関係に至らない前半部で、他の凡庸な作品とは一線を画している。
シークエンス自体のリフレイン構造やアップデートされまくりの女性の描き方も含めて、これほんとに連ドラでやったの?と疑うレベルの傑作
どらどら

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