ししまる

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のししまるのレビュー・感想・評価

3.6
欧米初の女性首相マーガレット・サッチャーの生涯を画く伝記ドラマ。
政界引退後、認知症を患うマーガレットの実生活と重ねつつ、戦中の若年期から1990年の首相退陣に至るまでを回想するスタイル。認知症の場面がやたら多く、やや集中できないが、後半のフォークランド紛争あたりから面白くなってくる。特殊メイクと迫真の演技でメリル・ストリープがサッチャー本人にしか見えない。
英国ではフォークランド紛争、サッチャーリズムへの批判がない、公開当時存命中だった元首相の認知症をテーマとするのは配慮に欠けていると、左右から文句が出たという。
✅メモ
メリル・ストリープが2度目のアカデミー賞主演女優賞を受賞、メイクアップ賞も取った。
ストーリーは大筋でジョン・キャンベルによる伝記に基づいていおり、本人は英デイリー・テレグラフ紙で「サッチャー1人で様々な問題に立ち向かったような脚色。たくさんの男性が出てこないから真実味が伝わってこない。歴史を短絡化しすぎているし、サッチャーに集中しすぎだ。正しい歴史表現ではない」と不満を示した。
サッチャーは保守的、強硬な政治姿勢から「鉄の女」の異名を取る。旧ソ連国防省機関紙がサッチャーの強硬な反共主義を揶揄するために用いた言葉だが、サッチャー自身は気に入り、代名詞として定着した。
首相在任中、電話・ガス・空港・航空・自動車・水道などの国有企業の民営化と規制緩和、金融システム改革を断行し、サッチャリズム政策と言われた。2013年4月8日、脳卒中により死去。サッチャリズム政策で圧迫された労働者階級や元教員の間では祝賀するパーティも行われた。
香港返還に際しては、1997年を租借期限とするエリアだけでなく、英国の永久領土である香港島や九龍半島の返還も求める中国共産党中央顧問委員会主任だった鄧小平に押され、サッチャーが受け入れた。
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