カンヌ・レーベル選出作品。ウェイ・シューチュンは短編『On the Border』でカンヌ映画祭短編部門で審査員特別賞を受賞した経験があり、その繋がりでレーベル選出に至ったようだ。加えて、本作品はアリババ・ピクチャーズが全面出資した初のアート映画ということで、気合の入り方は十分だった。主人公は少し前のウェイ監督と同じく、録音技師を志している青年クンである。彼は同じことを長く続けることができず、気ままに過ごす性格のようで、冒頭は運転免許試験が上手くいかずに途中で投げ出す姿が描かれている。そして、同じ映画学校の友人でやる気のないトンとつるんで、中古のオンボロジープで内モンゴルを旅する夢を見ながら、適当に街をブラブラしている。来年には勝手に廃車になってそうなジープを改造するために変なバイトをして金を集め、教師である母親から試験問題を盗んで生徒に売り飛ばし、対立している音響効果授業の講師と授業中にバチバチやりあい、彼女からは半分以上呆れられながらもなんだかんだ付き合いが続いていた。