ひな

Summer of 85のひなのネタバレレビュー・内容・結末

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールの歌詞について考えて帰って(物語の中ではダヴィトがどういう意図で死んだかは決して明らかにされなかったから)、はじめはダヴィトのアンサーだと思ったんだけど、やっぱりそうじゃなくて、あの歌詞はアレックスの物語の中のダヴィトが言ってるんだと思った。死人に口無し。
アレックスが物語の中で彼に再会し、教授から創作も含んでいると言われ、ケイトから幻想の彼に恋してたと指摘され、アレックスが物語はまだ終わらないと結論づけたように。
我々はそれぞれの物語の中で、都合よく歪曲し、ねじ曲げて、美化して、フィルターをかけて生きているんだ。
アレックスがとち狂って執着したわけでもなんでもなくて、初恋でしかも初めて体を許した相手なんて、幻想に幻想を重ねるわけ。理想の相手に愛される美しい自分に恋してるんだよ。
最後、新たな恋としてアレックスと一度寝た人と恋に落ちて船に乗っているし、アレックスはダヴィトに会うために死ななかった(死ねなかった)。
ダヴィトが母を評したのと同じ、見たいものしか見ない、信じたいものしか信じない。

愛は五分五分なんてことはあり得ないのだって最近読んだ三島由紀夫も言ってたし、傾くものね。

お墓の上で踊るって誓いをたてたことが、この映画の素晴らしい伏線だと思う。愛し合った恋人に墓で踊ってねなんて言うかよ。(原作のタイトルは「おれの墓で踊れ」なんだね)遺体安置所とかダヴィッ トの父の死とか、死を横たえて愛が進んでいく。便利だねえ、物語に死は。感情を掻き立てる優しい仕組みですねえ。しかし、海では死なんのね、この人たち。私だったら海で殺しちゃうな。

酷似した設定の「君の名前で〜」の方が私は圧倒的に好きなんだけど、それって彼らの初恋と同じ原理かもしれないですね

好きな人と遊園地行きたくなった
ひな

ひな