Shelby

Summer of 85のShelbyのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
3.2
映画館で鑑賞し、記録漏れしていた作品。

恋愛大国であるフランス。愛を語る言葉というだけあって響きも間のとり方ですらも美しさを感じてしまう。

2人の少年が織り成す、ひと夏の初恋。
君の名前で僕を呼んで、とはまた一味違ったエッセンスが加えられている。

恋愛中、誰しもが体験したことがあるであろう盲目状態。目の前の相手しか見えず、それ以外はどうでもいいのだ。この世界に、自分と相手だけのように思える無敵感。あるよね、そういう時期。

正直、今作を見るにあって少し歳をとりすぎていたのかもしれないと映画を見た時に初めて気付いてしまった。2人の愛が瑞々しく、そして初々しさもあり、若気の至りでもあるようなストーリー。ただ、若者の恋愛にしては重厚さを孕み、理解の範疇は超えてしまっていた。

感性だけで見るにしては、リアリティが欠けていたことで無理矢理現実に引き戻されてしまうもどかしさを感じながら鑑賞終了した記憶がある。
アイデンティティがあやふやで、触れてしまうだけで壊れてしまいそうな危うさを持つ青年期。
頭では理解できるものの、共感を呼ぶシーンは少なかったように思える。

フランソワオゾンの作品は個人的にハマるハマらないの振れ幅が大きいため、今回はハマらなかった方に落ち着いた。

年齢を感じてしまった作品として、暫くは記憶に残りそう。
Shelby

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