しちれゆ

アナザーラウンドのしちれゆのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.0
デンマークには、飲酒は○歳から、という法律はないそうである。ただ自分でビールやワインを買えるのは16歳以上、ジンやウィスキーを買えるのは18歳以上という決まりはあるそうだ。なので冒頭で高校生が真っ昼間ビールを飲んでは走り飲んでは走りして大騒ぎしてるシーンも何ら咎められることではないんですね(それが幸福度世界2位というのと関係あるのかどうか)。
この国ではビールやワインを飲み始めるのは大体13~4歳らしい😳

さて、今回のマッツはしょぼくれた高校教師マーティン。生徒にウケる授業は出来ないし、奥さんとはギクシャクしてるし(男がいるらしき示唆も)、まあ酒の力も借りたくなるわね。仲良しの同僚も色々と抱えていて「みんなで飲めば怖くない!」とばかりにどんどん調子に乗って飲みまくる。KEEP 0.05% なんてどこへやら。さらに卒業試験で緊張してる生徒にも飲ませちゃう。(デンマークの卒業試験って直前にテーマを与えられ、なおかつ口頭式なのに驚いた!)
そして、仲間のひとりトミーの突然の死。
ふつうならここで皆大いに反省し酒はほどほどに、となるところが、時は卒業式。卒業生たちはガンガン飲んでる。マッツ(もうマーティンじゃなくマッツ)たちもトミーへの献杯よろしく、またまたガンガン!人生の不安を忘れるため?人生は悲しくも楽しい、と言わんばかりに。ノリノリで踊るマッツ(彼、昔はプロのダンサーだったとか)。イケてるように見えるけど本当は?映画は海にダイブするマッツの空中ショットで終わるのだ。
本作の監督は『偽りなき者』(2012)でマッツと組んだトマス・ヴィンターベア。この作品と本作には通底する人間の愚かさと人生の苦さがあるように私には思えるのです。
原題 ″Druk″ 【大量飲酒】
しちれゆ

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