ヒムロ

アナザーラウンドのヒムロのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.4
高校の歴史教師マーティンは妻と疎遠、生徒にも授業に飽きられてつまらない人間になっていることを悩んでいた。
そんなある日、3人の同僚との飲み会であるノルウェー人哲学者の理論の話題になる。
それは「人間の血中アルコール度数は0.05%に保つのが良い」というもの。
4人はこれを検証するため、酒を隠し飲みながら教員の仕事を行い始める事になる。


冒頭、いきなり乱暴な飲み方をする若者達から始まって酒のメリット、そして闇の部分まで描いてラストシーンまで徹頭徹尾酔っ払っている。
これを過剰な飲酒への啓発映画ととるか酒と人類の長い関係を描く人間讃歌と取るかは観客次第だろう。
僕は後者だった。(僕自身は下戸だが)

大体がこういうテーマの映画は成功したと思ったらやっぱり大失敗して、結局人間性を改めないとダメだよねってなるのが筋だと思うのだが、この映画は酒に頼った成功は成功として描いているのが面白い。
泥酔や依存の失敗はもちろん失敗としている。
変に制作の都合で説教したいために歪めておらずリアルだと思う。
結局のところ、酒といい距離感で付き合っていけるかどうかが成功と失敗を分けるというところか。

見終わった後にはなんとも言えない、陰と陽どちらの感情も残る。
しかしこれがまさしく酒について視聴者に今一度考えてもらうためのフックになっているのではないかと感じた。


それと、内容とは少しズレるがマッツ・ミケルセンが最高すぎる。
くたびれたマッツ。
ハイテンションなマッツ。
悲しげなマッツ。
踊るマッツ。
そしてもちろん泥酔するマッツ。
イケオジが好きじゃなかろうと、ともかく眼へのご褒美のためだけでも見る価値があると言える。
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