【 フリーダ・カーロとジュセップ 】
海の中から突如現れたフリーダが歩いてくる。このシーンが幻想的なアニメーション映画。
そのメキシコ現代絵画の画家フリーダ・カーロ。21歳年上の夫リベラ・ディエゴの事は知っていたけど、1940年代に彼女の恋人だったカタルーニャ人画家のジュゼップ・バルトリの存在はこの映画で知った。
映画後半に出てくるカーロの住んだ青い家
などの鮮やかな色彩感覚、前半のデッサンや水彩画のようなタッチの閉塞的な世界観のコントラストというか色や線の使い分けが、ジュゼップの心・人生そのものを描いてる感じ。
・狂言回しはフランス人憲兵のセルジュ
そして、その孫が絡む構成がいい。
・映画はスペイン語とフランス語などが
混在し舞台も欧州から南米へ移る。
そして劇中に流れる歌でもある
「Futuras Madres Del Mundo」は、
https://youtu.be/OOD_h7q0y20
現代カタルーニャの歌姫であり、この映画でフリーダ・カーロの声を担当していたシルビア・ペレス・クルスによるもの。
<メモ:スペイン内戦>
映画はフランコ率いる反乱軍に抵抗し、1939年頃のスペイン人難民の避難先のフランスの強制収容所が今回の映画の舞台。
何故、隣国のスペイン難民をフランスはそんな目なあわせたかというと、当時外国人排斥ムードが高まるなか、フランス内閣が1938年強制収容所を開設しそこでの外国人監視を合法化したから。現代社会にもありそうな図式‥
映画の重要なファクターとしてのスペイン内戦は1936年〜1939年スペイン全土で起きた人民戦線政府 vs 反乱軍との戦い、結果フランコ率いる反乱軍が勝利。その後フランコの独裁政治が1977年まで続き、その影響がETA(バスク地方の分離独立を目指す民族組織)のテロ、カタルーニャ(バルセロナのあるエリア)の独立運動などに及んでいる。マドリードに住んでいた頃に、サッカー場(サンチアゴベルナベウ)でETAのテロ予告が出て避難したり、マドリードバラハス空港で自動車爆破テロが起きていたり、とフランコ時代の影がそこにあるような気がした。。あと、映画ではフランコ時代では禁止されていたカタルーニャ語も少し聞けたりする。
その内戦では何万人もの死者やフランコ政権による処刑も行われていて、その戦没者の為にスペインマドリード郊外の戦没者の谷(国立の慰霊施設)というかなり壮大なモニュメントや教会が建築されていて、以前そこを訪れた際にはその規模(かなり遠くからも十字架のモニュメントが見えるし、エスカレーターとかあった)に圧倒された記憶。