ゆず

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台のゆずのレビュー・感想・評価

4.5
刑務所内の文化活動の一環として演劇に取り組む囚人たち。『ゴドーを待ちながら』なんて聞いたこともないような囚人たちが、講師として招かれた落ち目の俳優エチエンヌの熱心な指導によって、だんだんと"表現者"になっていく。
やがて彼らの努力は認められ、刑務所の外での公演が決まるが…。

邦題に「!」が付いてるフランス映画は大抵楽しいの法則。「オーケストラ!」「タイピスト!」「エール!」「グレート デイズ!夢に挑んだ父と子」「シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち」などは全部おすすめです。あと「TAXi」もひっくり返すと「!」が付いていて"隠れ!付き邦題"である。
本作も邦題に「!」(エクスクラメーションマーク)が付いており、例に漏れず楽しい映画だった。刑務所を舞台にどんな罪で収監されてるかも分からないような囚人たちを相手にしているが、血生臭さはほとんどないし、ヒリヒリした空気感もあまり感じられない。なんというか、問題を抱えてはいるが全員良い奴じゃん…と雑に括ってしまいそうになるほのぼの描写。さすが邦題に「!」が付いてるだけある。

『ゴドーを待ちながら』を全然知らなくても大丈夫だった。囚人たちも分かってないので、エチエンヌが説明してくれる。舞台上でゴドーを上演するシーンもたっぷりあるので、大体の構成はわかるようになってる。
ラストには、だから『ゴドーを待ちながら』だったのか((¯ω¯*))フムフム…とわかった気になれるほどである。そんな風に鑑賞者を頭良くなったように錯覚させる魔法が映画にはある。

スウェーデンで実際に起きたことを基にしているという。なんだか象徴的である。それをフランスで映画化というのもとても象徴的だな。
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