うさぎ

人数の町のうさぎのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.6
独特すぎる世界観、物語の設定、
結末が簡単に予想できるものでは無いからかなり釘付けになった。

淡々と進んでいく、奇妙な町での奇妙な生活。
映像の中で時折カットインする一文は、今の日本の現状。思い知らされた。
ごく簡単な労働をすることで衣食住は保証される、何も気にすることのないそんな奇妙な生活であったが、住人は名前すなわち戸籍を失くして、ただ漠然と生きることしかできない。
中村倫也くん演じる蒼山はそんな生活に慣れてしまっていたが、石橋静河ちゃん演じる紅子が妹を探しに町へ来て、大人はともかく小さな子供はここにいてはいけないという危機感から蒼山も影響を受け始める。
あの唐突の「愛してる!」はこんな生活をしていてはダメだと気づいた瞬間なのだと思いたい。
そしてその町にいる以上、一人の人として生きることはできず、数合わせの「人数」として生かされているものなのだとその後に気づく。
個を失った者はその町以外の場所だともはや存在そのものが消えている。自分の存在価値など無かったのかと思い知らされる。
それでも表社会で生きていく為に、最後にとった選択とは…。

ディストピア作品は結構好き。
気持ち悪さと不穏さと奇妙さと、どこか現実と繋がるものがありそうな不思議さ。
吸い込まれる。

Hi, fellow...


上映前特別映像付きだったので、静河ちゃんの笑顔が見れて満足❤︎
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