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スパイの妻のyokoのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.4
原題の英題はwife of a spy の意味だが、wife is a spy妻はスパイという意味にも取れる。

黒沢清マナーで仲良さげに見えても実は顕在化してない部分で相手を好きじゃない関係、というのがよく出てくるがこれもそう。純粋そうに見える妻からは何も信念のようなものはなく、旦那の信じろという言葉も信じてないのは明白。cureでも間宮の暗示にかかったから殺人者に変わった訳ではない。無意識での憎悪が顕在化しただけ。同じように戦争で何かが変わった訳ではない。純粋風を取り繕っているだけだろう。cloud彼女にも通じるパートナーを地に縛りつけようとする小市民だと思う。

妻は通報、密告する。だからスパイ。そもそも旦那をスパイと定義するのは愛国奴連中以外の目線からはなかなか無理がある。それへの返答として旦那の通報返し。旦那が身内を売る人間が嫌いなのは明白なのに気付かず行動してしまう。なのでこの結果は最初から決まっていた。おとりとかではなく袂を分つことは最初から決められていた。

だって彼が撮影した映画では妻は撃たれて死ぬからね。彼の無意識の願望でしょう。

純愛が戦争によって〜、というよりは毎度の無意識下での弱さからくる憎悪などが顕在化しただけのことという感じかな。

異常だから狂ってるのではなく、正常だから狂う。この毎回出てくるお題目もきっちり出て来ました。
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