暴走する軍事国家の混沌として正気を失った世界の中で疑惑や嫉妬が非情に作用していて、反戦作品としてだけでなくサスペンスとしても楽しめた。
同時に、どの要素も無駄なものが無くて、結末も表面上ではなくそこに内包してる嘘についてあれこれ考察することを楽しむ作品だと思った。
夫婦の真意は「絶対にこう」というようなものがなくて、観ている側の解釈にある程度委ねてくれるのも良い。
個人的には、
妻の「どこまでも一緒にいる」という夫への言葉が、結末を知る前と後で「献身」から「狂気」とも解釈できるような意味に移り変わるようになっているのが秀逸だと思った。
その後に何が起きるかもこちらの想像に訴えかけられるけど、正直考えるだけでもゾッとするような狂愛を感じる。
二人がアメリカで出会ってしまったらどうなるか。