Tatsu

スパイの妻のTatsuのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

実はやってることは『CURE』と同じ。イメージが伝染していき、社会から外れていくのは、世界が狂っているから。今作のイメージはまさに映画(フィルム)そのものである。今作の高橋一生は、まさに『CURE』における✖️を継承されたものであり、その者たちだけが、狂気の中で正気になれる。ただ狂気の世界の中では正気こそが狂気とされる、世界の本質を『CURE』の反転的に突きつける。終盤の蒼井優と笹野高史の面会での切り返しは、『CURE』のオープニングの精神科医と主人公の妻の切り返しに重なる。フィルムが伝染し、それが世界の真実を突き付けるものだとしたら。向き合わざるおえない傑作。スリル、エンタメ性も、黒沢清の近作の中でも最も高い。長岡亮介の音楽は必要最低限の音数で不穏を高める。
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