たけ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのたけのレビュー・感想・評価

4.5
漫画原作のアニメーション表現として本当にすごい!単純な映像の綺麗さとか非現実的な世界観の投影の流麗さとかもすごいけど、漫画感を残しつつドラマ性が上手く拡張表現されてたり、登場人物の心理的描写を色使いやタッチで描く表現とか、アニメーションだからこそできる、アニメーションというコンテンツを最大限に活かした作品だと思います!

最近のMCUマルチバース系作品もすごいけど、マルチバースの不思議な世界観をより適切に表現されてると感じ、本作は一線を画しているように思えました。

また、スパイダーマン作品では欠かせない家族・恋人とヒーロー活動の葛藤がマイルズの世界とスパイダーソサエティ両面から描かれてより引き込まれた。

特に、スパイダーマンはこういうもの、と決めつけて押し付ける姿勢は、多様性を認められない古い価値観世代を揶揄してるようにも感じました。捉えようによっては、世界を守っているようで、本当は自分自身を守りたいだけのようにも映る。

愛してるが故に言えないだけなのに、上手く理解し合えない家族との微妙な関係も、誰もが共感できると思う。父と子の関係を特にフォーカスされていたところが、よりそう感じさせられた。

惜しむらくは、ヴィランの魅力がイマイチなこと。もちろん描きたいのはそこじゃないんだろうけど、スパイダーマンなら仕方ないのよ、という不可抗力的にあつらえられたヴィランみたいな感じで、全然引き込まれなかった。前作の後付け的に恨みエピソードを披露されても、逆恨みっぽくて感情移入しづらい。宿敵ポジを強要するヴィランなんか興醒めよ。スパイダーマンのヴィランってそんな感じが多いけどね。

次作への期待値が上がりまくるラストだったので、今から楽しみ!
たけ

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