ベビーパウダー山崎

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

3.0
愛する者の死を経験し「大いなる力には、大いなる責任が伴う」的な厳しい運命を受け入れ、それでも前に進むのがスパイダーマンがスーパーヒーローであり続ける所以だと思うが、それは物語のフックであり切り札でもあったはずで、それが核になり生きる呪いとして描かれる、変化したその先の文字通り「スパイダーマン」(中の人ではなく)の映画。
本作は二時間以上の「前半」だが、どう決着つけるのだろうか。すでにやり尽くされたヒーロー映画。普通に善悪で語られる物語は通用しない。流れはマルチバースという「都合のよい」設定ありきでメタのメタ。絶対的な悪と対峙というより、これも己の存在(人生や生活)に疑問を持つ、アイデンティティ危機の映画。個人と世界、どちらも救えないわけで、続編はヌルい終わりではなくバッドエンドありきで潔く閉じて欲しい。