「芸術は痛みにのみ完成される」
ーーーーオスカー・ワイルド
冒頭の言葉どおりの作品だった。
20世紀の最も偉大なバッハ演奏家と称されたブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いた作品。
5年前のリオのオリンピックで国歌演奏を行っていて、今も81歳でご存命です。
右手の指3本をケガで負傷して使えなくなっても不屈の精神でリハビリをし、ピアニストとして復活。
しかし、さらなる不運に見舞われ、ピアノが弾けなくなる。
それでも演奏家をやめなかった。
諦めないジョアンの音楽への愛と不屈の精神力が素晴らしい。
ご本人は映画の中の彼より、優しそうなお爺ちゃんでよけいに感動しました。
調べてみると、ご本人は映画よりももっと大変な人生を送ってる。
右手まで使えなくなったり、計24回も手術を受けたり、特別な手袋をつくりピアノを弾いて復活したり。
とても映画じゃ表現しきれない。
なぜ彼はバッハに執着したのか、その辺が見えないのが残念だった。
作品というより、スコアはご本人への加点もあり。
音楽家の実話ベースは作品の出来、不出来にかかわらず音楽も楽しめてワクワクします。