レビューを軽く見る限り、評価がそこまで高いわけでもないようだが、個人的には日本映画史に残る傑作だと思った
ドカベンの印象が強かった坂田三吉が真の将棋の名人を目指す一代記
前半は将棋バカで家庭を顧みない坂田三吉の視力の悪さと並行するようにやや鈍重にも感じるが、文字通り突如として走り出す移動ショット
そして坂田三吉のレーシック手術(ではない)が成功するように妻が呪術的に「南無妙法蓮華経」を唱えて太鼓を叩くシーンからべらぼうに面白くなる(コクソンみたいだった)
伊藤大輔のカメラワーク、編集、手のアップ演出。坂田三吉を演じる阪妻が素晴らしい
風吹く将棋シーンは名場面
ラストはまだ新しいテクノロジーだった電話の道具立てと阪妻の熱演、伊藤大輔の演出もあいまって感動した
手に握られた王将、最近ではスコセッシの「沈黙」にも通じる演出
そして列車の煙に包まれるラストショット
戦後すぐにこんな映画が作られていたなんて