王将の作品情報・感想・評価

「王将」に投稿された感想・評価

基本過剰なほどコミカルな演技だが、それに乗せた記念撮影のシーンの凄み。不自然に笑う芝居をいとも容易く自然にこなしてみせる。『天才とは欲にかまけず童心を死ぬまで保ち続ける性分の事』 ラスト10分で一気に泣かせにかかる。草履のクドキの素朴な温かさから、達観したラストカットまで涙途切れず。
初)ずっと観たかった作品。ただの将棋バカの話だと思ってたら…山田洋次監督がおっしゃるとおり家族の話でした…将棋キチガイの三吉が目標としていた関根が名人になった時わざわざ東京に出向き祝辞を述べる(将棋に関しては何事も譲りたくない三吉が)素直に祝辞を述べる事ができるのはずっと影で支えていた妻小春のおかげだと思う。夫の夢を叶えるためのつくしようは驚嘆もの…三吉は本当に幸せ者た…
将棋界の奇才、坂田三吉の半生を描いた映画。坂田三吉を阪妻が力演しています。坂田は大阪で貧しい暮らしをしていますが将棋は大阪ーの腕前です。東京から来た花形将棋士の関根七段に判定負けしたことから坂田は関根にライバル心を燃やします。将棋にしろスポーツにしろ自分の実力を伸ばす為には好敵手の存在が必要ですね。中年のオジサンなのに喜んだり悔しがったり素直に感情を表現する坂田が可愛い。坂田の赤ちゃんも可愛くて、微笑ましく観てたら途中で亡くなってしまったらしくショックでした。子守唄の調べが物悲しくも美しく聴こえてきます。
三郎丸

三郎丸の感想・評価

3.6
昭和の名優阪東妻三郎(阪妻)を押さえるべく鑑賞!(田村正和のお父さんです)

阪東妻三郎が、大正から昭和にかけ活躍した、関西屈指の棋士差し阪田三吉を飄々とした演技で魅せます!

時代背景の説明。
この作品の舞台は、大正時代。
当時の将棋界は、小野五平が「名人」であったが、当時の名人位は、一度襲位すると「死去するまで名人」。その小野が長生きしたため、次の名人の座が約束されていた関根金次郎は、全盛期のうちに名人を襲位することができず…この物語の最後に関根金次郎が名人を襲名するが、このころには主人公に対しても対戦成績はすっかり振るわず、生涯32局戦い、関根の15勝16敗1分という全盛期は過ぎてしまった感…かわいそうです!
ですので、関根は70歳(将棋以前に健康不安を抱えるおじいちゃんですよ…)を迎えたとき、名人位を退くことに。
その後はトップ棋士の総当りのリーグ戦が設定され、その後、前年度の名人に挑戦する現在のシステムへと代わっていく。

その関根金次郎とのライバル関係にあったのがこの物語の主人公、坂田三吉。関根の流麗で物静かな人柄に対し、坂田三吉は慌てん坊、人間味溢れる天才として描かれている。
実は、主人公の出が原因で教養も、社会性も乏しかった。
しかし、そんな主人公ですが関西では屈指の将棋指しであり、彼を応援し、後押ししてくれる人たちがいっぱいいたが、主人公は自分のわがままを通し、情に溺れ、人に愛され生きた、坂田三吉という人間の半生と、妻小春、そして娘の玉江の物語を、関根金次郎との対決を軸に描く。

同時の生活環境(大正から昭和初期)は、現在とあまりにかけ離れており、主人公は麻裏草履を作り、その日暮らしの生活を送ってます…履き物が草履ですから。ピンと来ません!
アスファルトが当たり前な現代ですが当時は土と砂利…環境が違い過ぎます。

主人公は、将棋の腕はあれど、家業が草履一本ですから当然収入はしんどい形です。結果家財道具(仏壇もいきます!)は持出す、狭い長屋の一室は空屋状態。
しかも、朝日新聞主催の将棋大会の会費の二円を工面するため、娘の一張羅を質に置いて出掛ける。妻の小春(水戸光子)はそれを知り今はこれまでと、娘をつれて自殺未遂までされる始末。
それが元で1度は諦めようとする将棋…しかし、
「俺には将棋しかない」
という気持ちを妻は察し、静かに主人公の背中を押す。
当時は、将棋差しだけではとてもとてもメシを食えないシビアな環境。(皆、今より生活に必死でしょうから)しかし、主人公は将棋に賭けます。

そして、実力名声共にナンバーワン、関根八段(滝沢修)と、主人公との勝負もなかなかの緊張感があり、見応えのあるシーンになってました。

この作品の大きな特徴は、
【動きをもたらすカメラ】
カメラを持ち畦道を走り、また勝負のシーンでも動きを求め、勝負が決した際に記者席の書類を風に飛ばして見せたりと、随所にカメラの技が使われていました。

作品終盤、将棋&家族(タイトル王将の意味が分かります。勇気を持って敢えて言います、【餃子の】ではない)に主人公が望んでいない運命が待ち受けているのですが、変に過剰演出にしなかったことが、逆に涙を誘います。

作品通してに言える事ですが、
【年月が経ちすぎている】
【将棋ジャンル極渋】
という部分があるため、若い人はまず手に取りづらい作品かと思います。
しかし、主人公がリアルに汗しての熱演、古いながらも観客を楽しませるための工夫はしっかり盛り込まれており、古さをマイナスに見てもなかなかに楽しめる作品になっていると思います。
但し、誰も喋らない静かなシーンになると、古い映画特有の
「シューー」
というノイズは観ていて思わず苦笑い…
ぶん

ぶんの感想・評価

3.7
つい先日観た「聖の青春」もそうだったけど対戦相手に対して敵ではない情の深さを感じた。将棋っていうのはそう言うものなのかな、長い対戦時間と礼儀正しいふるまい…その中から相手に対する尊重の思いが生まれるのかもしれない。 

最後の汽車の煙りをバックに、点滅するライオン何とかの文字の塔、仁丹の看板、そしておでん屋さん…とってもいいシーンだった。

このレビューはネタバレを含みます

男が本物になるために支える女って意味では、溝口健二の「残菊物語」といい、この作品といい、本当に素晴らしい作品が多い。そして、支えた女はこの世を去っていく。名人になった関根に自分があげられるものは他にないと10数年振りに作ったわらじを渡しているところは素晴らしいな。そして、そこに妻が死にかかっていると電話がかかってきて妻に向かってお題目を唱える阪妻。怒涛のドラマ的展開へと流れ込んでいくラストは圧巻だ。妻の水戸光子たちが自殺しようとしたことを知り、もう将棋はやめると阪妻は火鉢に将棋の駒を投げこむが、王将だけが外に落ちていてそれを水戸光子が見つける様子(死ぬ間際までそれを握りしめている)や機関車の蒸気が三吉たちの住んでいる長屋にまで流れ込んできている映像の見せ方が余計な台詞を使わずとも登場人物たちの心が伝わってきて強く印象に残こっている。途中から出番が減ってしまうが、新蔵役の三島雅夫が何ともいい味を出しているわ。
冒頭の“三吉”の書き順、長いお辞儀の時点で既に傑作。
なんといっても坂東妻三郎が素晴らしい。まず声が良い。顔のアップが見たいと思う。
また、長屋のセットも最高。汽車が通るが、その姿は見えず、吐く煙だけが画面を横切る。(加藤泰の緋牡丹博徒はこれのパクリか)

小太鼓ドンドン…のくだりはちと長すぎ&やり過ぎか。
ただ、ライバルとの決戦での神の一手を打つまでの引き延ばし、打ってからふく風、神がかってた。
奥さん役の水戸光子の頭を垂らす演技、貧乏を表現したいのだろうが嫌い。
obao

obaoの感想・評価

4.0
@シネ・ヌーヴォ
阪妻こと阪東妻三郎さんと言えば…田村高廣さん、田村正和さん、田村亮さんのお父様。そういう知識はありましたが…映画は(おそらく)初めて観ました。さすがに、巧いですね。

学もなく将棋しか出来ない男…そのままそう見えました(他の作品では、二枚目なんですよね)。そして、所々に歌舞伎の所作が垣間見えるのも良いです。

遠くに見える初代の通天閣。天王寺の貧乏長屋に住む素人棋士 坂田三吉は、将棋大会の会費のために、娘の着物や仏壇さえも質屋に入れてしまう“将棋極道”な男。彼を内助の功で支えた女房との人生劇場。

『残菊物語』のように、男の立身のため女が犠牲になる物語が…やはりこの時代は多い。

坂田三吉(阪東妻三郎)の妻に水戸光子、娘に三條美紀。このふたりのキャリアにも驚きます。三島雅夫や斎藤達雄、滝沢修など…馴染みの役者さんたちも多く出ていて、何とも楽しかったです。

そして…二回泣きました。

【大阪〈生きた建築〉映画祭 ―失われた〈大阪〉を求めて―】にて

このレビューはネタバレを含みます

9月18日@otsurourevue
乙郎さん@otsurourevue

『王将』(伊藤大輔)鑑賞。とてもよかった!煙の映画。背景に行き来する汽車は街を煙に巻き、主人公夫婦の運命を決定する。妻小春たちの事故の報を受けた主人公阪田が駆けつけるシーンのカメラワークが見事。
posted at 00:26:32

9月18日@otsurourevue
乙郎さん@otsurourevue

『王将』 あとは、主人公のその後を決定する時のカメラワークがどれも良くて、遠景で捉えているかなと思ったらぐいと寄っていく。で、寄った先には話している二人の間に柱があったり、あるいは道を謝りつつある主人公に欄干(?)が重なっていたりなど。
posted at 00:28:39

9月18日@otsurourevue
乙郎さん@otsurourevue

『王将』 あと、93分という短い上映時間の中で16年が経過しているんですが、やはりこの描き方だと夫婦というものについて考えてしまう。今後自分がどう夫婦生活を行っていくのだろうとか。実際のところ将棋という題材はマクガフィンだと思います。
posted at 00:30:38
scotch

scotchの感想・評価

3.8
一介の素人棋士が、一念発起、棋界のトップに上り詰めて行く。
阪東妻三郎、初めて見ましたが流石ですね。

なんといってもラストが秀逸。人間としての成長、好敵手との心の友情、そして何より暖かい夫婦愛。無論、脚色はあるでしょうが、かなり事実に即したストーリー。感動もひとしおです。

南無妙法蓮華経の太鼓はうるさい、近所迷惑(笑)

古い映画ですが見て損のない一作です。
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