あさ

トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そしてのあさのレビュー・感想・評価

4.2
"disclosure"というタイトル。自分たちの存在を「暴露」"すべき"とされてきた彼ら、彼女たちの物語。「見てよかった」ってレビューも見かけたけど、ほんとに見て後悔しない作品だった。

黒人とトランス女性の関係について、去勢のイメージと繋がっているのは意識してなかった。だからトランス女性をトラウマ視する人もいると。

こうやって見ると、有名な作品の数々もヒッチコックもトランス人物を逸脱したものや殺人鬼として描いてきたんだな。

自分が好きだと思っていた映画も、男性がトランス女性を演じたものがあるけど、そこに潜む危険性をこうして提示されたのは目から鱗だった。「女装している」というイメージが生まれる授賞式。たしかに。こんなに彼ら、彼女たちは存在するのにどうして当事者が演じないのかって。

吐き気の対象にされる描写も、笑いのネタにされるものも、わたしたちは無意識のうちにメディアの経験に基づいて連鎖してるんだろうな。

トランスした人たちに対して、身体のことについて興味本位だけで聞くことも。手術のイメージも。
「生きるために手術する」という言葉にもあったように、ホルモンやガンで死ぬというテンプレが存在するのも酷い話。ここ最近『ミッドナイトスワン』に対して感じたモヤモヤもかなりこれに近い。

過程の話になるけど、こういう価値観を「ありえない」と思うのも過去の積み重ねがあるからなのかなと。『ハリポタ』シリーズが極めて白人主義なのも、今見たら時代錯誤になる。でもこれが映画史であり、社会史。人類って時間かけないといけないポンコツなんだ。

わかってるようで知らなかったトランスジェンダーの話。非常にeducativeなドキュメンタリーでした。ここで触れられたドラマや映画どれも気になる。
あさ

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