くーみん

トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そしてのくーみんのレビュー・感想・評価

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トランスジェンダーがハリウッドでいかに描かれてきたかを、彼らを代表するオピニオンリーダーやクリエイターらが分析し、それぞれの思いを語るドキュメンタリー。

当時は異性装が違法の時代だった。「男の服を着ていた少女12.45ドルの罰金」や「女装の男を逮捕」など、一般的な性役割に反する行動をする人は、逮捕されていた。

1914年、監督D・W・グリフィスはひどい人種差別主義者で、ジェンダー規範に当てはまらない人々を、意図的にネタにしたことで、悪しきステレオタイプを生んでしまった。

奴隷制時代、白人女性にとってアメリカ黒人男性は警戒する相手。黒人男性はリンチに遭い、性器を切られた人もいる。黒人男性の女装は去勢と同じで、多くの黒人男性がトランスジェンダーに対して、トラウマを抱えてしまった。

調査によるとアメリカ人の8割は、トランスジェンダーの知人がいない。トランスジェンダーに関して人々が得る情報の多くは、メディアから来ている。それは当事者も同じである。アメリカの8割の人々と同様に、自分を知ろうとしてメディアに頼る。

メディアで見られる数は、トランス男性よりもトランス女性の方が多い。実際にはトランス男性も同じくらい存在するのに、数の偏りがある。なぜなら、トランス女性を含む女性全体が商品化できる価値があると見られているからだ。

1973年、ニューヨーク・プライド・マーチ。
この時は、ゲイ人権運動からトランスは除外されていた。トランス女性やトランス男性に、最も嫌悪感を示すのは、実はゲイ男性だったりする。

推定では約4万人に1人の割合で、トランスジェンダーの子供が生まれる。「視聴者に伝えたい。トランスはどこにでもいる普通の人だと。」

トランス女性、トランス男性が、異性愛中心の世界で、承認を求めることは重要であると、このドキュメンタリーを見て強く感じた。

華やかなトランスのスターや、テレビや映画のトランスのキャラクター、そういうものを見て、怒りを覚える視聴者がいる。その視聴者は怒りを、一般のトランスに向ける。
そうではなく、このドキュメンタリーで一番訴えたいことは、ストレートである視聴者が立ち上がり、トランスを苦しめる政策と闘ってほしいのだと感じた。

かなり見応えがあったし、見てよかった。
くーみん

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