Yuichi

二人ノ世界のYuichiのネタバレレビュー・内容・結末

二人ノ世界(2017年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

バイクの事故で顔以外が動かなくなった男。目が見えなくなり、夫に子どもを連れて行かれて一人になった女。

たまたま介護を募集していた男の親のラジオ放送を聞いて、介護の資格もないけれど男を訪ねる男。暴言を吐いてみたり,ビンタをしたり介護としては歪な関係ながら、二人がなんとかやっていこうとする。

介護の関係性を改めて問い直すような映画かと。タクシーの運転手にどちらがどちらの介護をしているんですかという問いかけはとてもよかった。介護とは一方通行であるはずがなく、人と人の関わりがある限り、双方向になり得るものなのかもしれない。それが本来的な介護のというか人間関係そのもの。

と思っていたら、最後のシーンにがっかりというか引いてしまった。
最後の最後に恋愛というか、ロマンティックで解決しようとしてしまった。
介護は無理だと男の家を追い出された女。それでも戻ってきたら女。お互いに心を通わせていく二人。そして、全裸になり、男のベッドに入る女。温かいと幸せな顔をする女。

提起されたはずの介護の問題、生活の問題、現実とはなんなのか、なぜ障がい者はこれほどまでに生きにくいのか。その問いかけを,全部なかったとことにして、恋愛感情で蓋をしてしまうこと、生ぬるいまゆで包んでしまい、ハッピーエンドと映画を終えてしまうことの危険性を、改めてここで提起しておく。
甘っちょろい答えが違うってことではない、どれだけ甘っちょろくてもいいから、問題に立ち向かって、そして、その先にほんのかけらでもいいから、光を見せて欲しかった。それを期待してしまった。

残念なエンディングだった。
Yuichi

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