日本シナリオ大賞の入選作（佳作）の映画化とはいえ、物語には既視感があり、できすぎた状況・キャラクター設定、京都市内なら自立支援の組織やボランティア、中途障害の支援団体もあるだろうにとか、途中まではむず痒さを感じていましたが、次第に歌舞伎的な面白さを感じるようになりました。分かりやすいストーリー展開、あざとく登場する悪役の親戚たち、それに立ち向かう主人公たち、期待通りの結末…。ちょうど心中もの、道行ものみたいな展開なので、敵役の登場あたりで「いよっ、待ってました」と盛り上がってしまいました。
永瀬正敏さんは間違いがないとして、土居志央梨さんの演技が出色。素晴らしい女優さんです。彼女が主演する映画はたぶん、また観に行くと思います。エンドロールでプロデューサーに林海象さんの名前が出てきたので、永瀬さんの起用も納得でした。上映館は少ないですが、意外なめっけもの作品。
