うちだ

もう終わりにしよう。のうちだのネタバレレビュー・内容・結末

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


私という人間を決めるのは親?ハブってくる同級生?清掃を主な業務とする用務員に低い社会的地位を与えてくる社会?
周りにどう扱われるかで自分の価値を決めてはいけないという主張と、そんなの強者が唱える机上の空論だ、という主張が私の中で喧嘩する。自尊心の程度にはその人の人生を左右する影響力があるだろうし、でもその自尊心というのは他者(社会)からの承認によって決まるようなものなのだ。
そんなものに自分を左右させてしまってはいけない、という叫びが聞こえる。自分、ひいては自分の人生のコントロール権は常に自分に持たせるべきだ、でないと自分で責任を持とうと人は思えなくなる、その姿を散々見てきただろう、と。

そんなの分かっている、分かっていてもエネルギーの要る要件は先延ばしにし、自ら動くことはせず物事の流れに身を任せておきながら事態の好転を待つ。分かっているのに辞められない、やるべきことは何となく分かっているのに動けない、そんな地獄を見せられる。

自分が他者に影響されるということは、つまり自分も他者に影響を与えるということだ。だから自分がどういう人間かを周りに委ねず、自分がどういう人間かは自分で決め、周りに知らしめるくらいの心意気で行きたいね(急にどうした)

学校で周りと違うことを主な(?)理由にハブられていた子どもたちの将来を見てきた老人は「予測は本当になる」と繰り返す。人は過去を引きずって生きる、治らない傷だと。そしてこうも言う、与えられたもので生きるしかないのだから、運次第のことにくよくよしたって仕方ない、自分がたまたまウジの湧いた豚であったとしても卑下することはない、と。この矛盾が人間らしくていい。
親近感を抱くのに、抱くが故に、終始気持ちが悪くて仕方がない。
「愛の中に論理がある」の意味はピンとこなかったが、作品の序盤で感じた拒絶感が、後半の受容と別離に伴って和らぎ、"終わり"をちゃんと喜べた自分に安堵した。
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