Kyasarin

アジアの天使のKyasarinのレビュー・感想・評価

アジアの天使(2021年製作の映画)
4.1
石井裕也監督最新作。
テアトル新宿 舞台挨拶つき。
最近の石井裕也監督はよく撮るよく公開される。コロナ禍なのに三作品めだ。
石井監督三部作と思った言われているのが、生きちゃった、茜色に焼かれる、アジアの天使。全部石井色入っていて、賛否や好き嫌い別れるのかもしれないけれど、このアジアの天使は私にはとても合っていた、好きだった。

一言で言えば、全く知らない日韓の家族同志、出逢って相互理解を深めて行くロードムービーである。

見どころはやっぱり池松壮亮くんとオダジョーの掛け合い、息子役の演技(なんも喋らないけど表情めちゃくちゃ良い)
韓国勢の芝居の巧さ。

食事とビール呑むシーン多いけどそこが好き。美味しそう。韓国行きたい。韓国の鉄道も乗りたい(映画の中に出てくる列車は廃線になるギリで撮ったらしい)石井監督は「持っている」のかもしれないなぁ。このとおり、撮ろうと思った列車がギリで廃線、コロナ禍ギリで韓国撮影終了、茜色も思い立って撮る、韓国を舞台にしたのも、意図的衝動的に、「どうにかしなきゃ!撮らねば!!」と思ったらしい。撮りたい!と思った時に撮れるって素晴らしいな。

石井監督作品三部作の中ではアジア、生きちゃった、茜色の順で好き、好きというか自分に合っていた。

途中途中笑いをナチュラルに入れてくるところが良かった。

キーワードは、韓国コスメ、ビール、ワカメ、ラジエター、病気。

たしかに、他の方も仰る通り、細かい設定やその後どうしたの??(腹痛の時どうやって病院運んだんや、とか)とかあったけど、そんなの気にならないくらい良かった。

映画、ってその人に合う合わないなのかもなぁ。あと役者の芝居。

池松壮亮くんとオダジョー、兎に角いい。池松くん、繊細なお芝居するよね、とてもとても良かった。オダジョーなんて、茜色に焼かれる の亡くなった夫が生きていたら、あんな感じなのかなってオダジョーの役を観ていた。オダジョーはチャランポランな役が本当に似合うし石井ワールドを自分のモノにするチカラがすごい。女の子に惚れやすいのもとてもかわいい。オダジョーだからこそ出来るんだろうな。

韓国勢も三兄弟、兄貴が昔知り合いだった韓国出身の張さんって人にすごく似ていて、ずっと張さんに似てる、張さんに似てる、て思いながら観てた。お姉ちゃんは昔の水野美紀さん激似で、妹ちゃんはふとした瞬間が安藤サクラたそ。韓国の役者の芝居は無条件で信頼出来る。

ラジエターのくだり、思い出すだけで笑っちゃう。冒頭で池松きゅんが急にキレるところとか、石井監督はああいうふっとした笑いを組み込むのがめちゃくちゃ上手い。

「メクチュ チュセヨ」
「サランヘヨ」
韓国料理食べたい
ビール呑みたくて、観たあと呑んだ。
あと、ワカメね(笑)

中華料理で屋さんで中国人と思われる店員がラーメンすする横で韓国人と日本人が居るのが何ともシュール。

石井監督は文学と神様が好きなのかなと思った。三部作公開日初日、舞台挨拶つきで観たけど共通する事柄があって、ああ、石井色だなって。

あと、天使のくだりは以前地上波ドラマにて、オダジョーとオノマチが出演した「おかしの家」の中にも同じキャラクターが出て来て噛まれる、というくだりもあったことを思い出した。あの天使がアジア進出しちゃったのだろうか(笑)相当お気に入りなのね(笑)茜色の女豹にしろ、最後に落とすのが石井裕也ならでは。要らない。と言う人も何人か観たけれど、あれが無いと石井裕也作品では無いんだよなぁ(笑)私は好きだし、芹澤さん出てきた瞬間噴いたし笑ってしまったよ…
韓国の人達の反応が見てみたい。あと評価も。あのシーンは「私をくいとめて」の浜辺のシーンとダブって見えたな(笑)意図は同じなのかな…

丁寧に、大切に作られてた印象あるから
海外の映画祭で賞とか取りそう。

石井監督は三部作に共通することは家族愛、兄弟愛、親子愛、他者との繋がりの愛、を表現したいのかな。

あと、最後の台詞、とても良かったなぁ。
「サランヘヨ」ではなく、そうなるかもしれません、本当に好きなのは〜です。ネタバレになるから濁すけど、曖昧なのが人間で、答えが上手く出せないのも人間。曖昧なのがとても良かった。これからどうなるか分からないけどとりあえず自分の気持ちを伝える。大事だと思う。言葉は通じなくても、ビールと愛があれば海外へ行ける。それは本当のことだと思う。
Kyasarin

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