片山幹生

新しい街 ヴィル・ヌーヴの片山幹生のレビュー・感想・評価

新しい街 ヴィル・ヌーヴ(2018年製作の映画)
4.4
実に渋い(渋すぎる、地味過ぎる)文学的なアニメーション映画だ。
時代と社会から取り残された孤独な中年作家ジョゼフは、別れた妻との関係の修復を、かつて一緒に過ごした裏寂しい海浜の孤村、「新しい街」 Ville neuveを目指す。彼の心象風景に、ケベックの独立を問う住民投票の熱狂が対比される。水墨画風のモノクロの映像、文学的なテクストの引用、静かな音楽の組み合わせが、静謐で繊細な映像詩を描き出す。