このレビューはネタバレを含みます
大学院を目指す主人公とそのダメ彼氏は、浜辺のサマーハウスでのんびりと休暇を……と思いきや、文字通り霧中の恐怖が襲来!
「霧、汚染、寄生、変容」って、予告でおおよそは明らかになってますけどもね。
何もない海中の漠然とした不安感とか、砂浜で何か踏んじゃうとか水に何か混じってるとか「海の嫌なことあるある」や、ブッキングした中年夫婦とのぎこちなさに恋人の頼りなさ、最悪のバッドトリップなど、居心地の悪い雰囲気づくりはいい感じ。
海や霧、水道水や埃などが、まるで生物の細胞のようにダブるイメージも陳腐ながら上手でした。
しかし『ボディ・スナッチャー』的、あるいは『異次元の色彩』的な謎外来生物は、ちょっといただけないかも。浜辺に流れ着いた軟体餃子とか樹上のニセ夜光虫とか吸い込んだらアウトな霧とか、バリエーションに富む一方で整合性が希薄。デザインは最高……だからこそ惜しい。
映画的な展開にも難があって、ストーリーのアイデアが発想以上になってない印象です。中盤は「ターナーさん!?」って言ってるだけでだし、そのターナーさんが辞世のポエム残して入水するのはあまりに突飛だし、クライマックスの逃走劇は段取りだけだし。
みんな言及する餃子とか、背後のターナーさんとか地下室の惨劇とか、画的な接続も煩雑。「気づけよ」ってつっこまざるを得ません。
ジェフリー・A・ブラウン監督はロケーション・マネージャーが本業っぽいので、映画においてはクリエイティビティというより事務仕事の方が得意なのかもしれないっすね。