TakuoAoyama

そこにいた男のTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

そこにいた男(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「岬の兄妹」のスタッフを招集して作成した短編。

夜の常識は昼の非常識とは良く言ったもの。本作は月に数百万貢いだホストの腹部を滅多刺しにした、記憶に新しい歌舞伎町ホスト殺人未遂事件(2019年)を基にしたストーリー。
実際の事件の顛末は治療の末、奇跡的に復活し、裁判により500万の示談金、被害者との接見禁止、歌舞伎町に近寄らないことという決め事で幕を閉じたそう。

ただ本作のオリジナリティとしては、刺された男性はホストではなく俳優の翔、主人公の紗希はガールズバーの店員ではなく、制作スタッフという監督本人にとって身近な撮影現場での出会いを切欠に描いているのが興味深い。そしてそれは現場で刺されるシーンでそんな芝居じみた死に方するやつなんていないと監督に盾突き、自分が実際に刺された時はお母さんとまで泣き叫びながら、這いつくばるというシークエンスが面白かった。

「お芝居、今日はリアルだね。」紗希の皮肉度最高レベルの台詞が突き刺さる。


眼鏡おばちゃんの女刑事の個性の必要性は分からなかったが、取調室で暑いと言って脱いだ紗希の靴下はめちゃ安物。男に散々貢いだ挙げ句の生活レベルの低さが見て取れる。


ラストは翔くんの腰パン半ケツシーンで終了。
このシーンは唯一翔が紗希のために何かをしようとしたシーンだと言う。生理的に無理な人が多いと思うが、落とした小銭に自販機の下を必死で覗き込む翔の姿を微笑ましく紗希は見つめて、ラジオの渋滞情報のエンドロール。
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