ポルりん

そこにいた男のポルりんのレビュー・感想・評価

そこにいた男(2020年製作の映画)
3.9
【簡易メモ】
冒頭、どこかで見たことある映像だと思ったら、「新宿ホスト殺人未遂事件」モチーフにした作品だったのね・・・。

題材しては、70分以上になりそうなものだが、それを見事に33分でまとめられている。

内容が濃く、余計な描写を入れていない。

普通は、主人公である紗希と物語のキーパーソンとなる”とある人物”の心理描写をしっかりと描きそうなものだが、本作ではそれを最低限に留めている。


正直、観終わった直後は、もっとキャラクターを深堀して、心理描写を入れるべきだと思っていた。

だが冷静に物語を思い返してみると、それを描いたところで物語の本質やテーマが変わる訳でもないし、間違いなくキャラクターに共感も出来ないだろう。

不必要な描写である。


恐らく片山慎三監督は、何を見せ、何を見せずにおくかという選別を視覚的にわきまえており、本作でも不必要な妥協などを全くせずに撮影しているのだろう。

見事だ・・・。


物語も素晴らしいが、演出も抜群に上手い!!!

冒頭のファーストシーンの事件の再現度も見事だが、被写体との距離感や構図も素晴らしい。


事件のことを知っている人も知らない人も是非見て欲しい作品である。



余談だが、実際の事件では男は生きていて現在もホストをしているらしい。

この事実を知った時は驚きを隠せなかった・・・。

手術で肝臓摘出されたのに、どうやってホストしてんだろうな・・・。
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