EDDIE

私をくいとめてのEDDIEのレビュー・感想・評価

私をくいとめて(2020年製作の映画)
4.1
一人でいることの心地良さと独りぼっちの寂しさ。アラサーだからこその拗らせをリアルに表現した“私の物語”。
拗らせアラサー女子をのんが好演、親友役の橋本愛の尊さ、そして誰とカップル役をしても上手くハマる林遣都の自然な佇まい。好きだなぁこれ。

2020年12月公開の作品ながら早くもAmazonプライムにて配信開始。
個人的には橋本愛と林遣都出演ぐらいがポイントだったんですが、意外にも今の自分に絶妙にハマる作品でした。

『勝手にふるえてろ』の大九明子監督作品にて、原作者も同じ綿矢りさ。
作風が基本的に同じであることは想定の範囲内でしたが、のんがいい意味で脳内イマジネーションと共存しながら日々を送る拗らせアラサー女子を見事演じていました。
妄想力のハンパなさは想像の斜め上をいきましたが、とにかく女性であるとか男性であるとか置いておいて、恋愛に対する姿勢とかめちゃくちゃ共感するところが多すぎました。

もちろんNHK朝ドラ『あまちゃん』以来の親友役としての共演だった橋本愛とのカットも見逃せません。
この2人が同じカメラの撮影風景に登場しているだけでも嬉しい(と言ってもリアルタイム『あまちゃん』ブームにはついていけてなかった自分がいますが)ですし、イタリアの撮影風景に馴染み光が神々しく当たる橋本愛はあまりにも尊い…!!

そして、本作のメインとなるのん演じる黒川みつ子と林遣都演じる多田くんの恋愛の行方。
好きなんだけど、1人でいる気楽さと天秤にかけたとき、どうしても異性と付き合うということに億劫になってしまうという複雑な心境。これが実によくわかる!
告白できないとか、したくないとかではなく、今ある生活との変化を恐れ、告白しない、その方が楽だと判断してしまうところが30とか過ぎてくるとあるんですよね。
もちろん年齢で分けられるものではないので、20代でもいるだろうし、40代以降で同じ症状を発する人もいるでしょう。

職場の頼れる先輩ノゾミさん役の臼田あさ美もいいキャラクターでしたね。
カーター役の若林拓也もなかなか面白い役どころでクセになりそうでした。

とにかく様々な紆余曲折を経て、みつ子はとある着地点に到着するわけですが、ラストの展開がまたとても良いのですよ。
エンドロールの演出までなんというか心地良い。

脳内で妄想するときの話し相手である相談役Aは中村倫也の声なんですけど、最初の方はなぜか向井理だと勘違いしていました。
そこからの実像化した人物がまた面白いですよね。まぁ使い所としてどうかというツッコミどころはあるにせよ、あの安心感は間違いないでしょう。

のんは本作に全身全霊で臨んだ、そんな姿勢が見てとれました。正直31歳の役には見えづらいのですが、それでもあの拗らせ具合は抜群の表現力で目を奪われてしまいました。今後ももっともっと活躍してほしいものですね。

※2021年自宅鑑賞76本目
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