30年間セックスレスの中年男（なかみつせいじ）が、サディスティックな恋愛カウンセラー（長谷川千紗）に責め立てられてしまう。恋愛弱者のジタバタ劇を描いている、オーピー配給のピンク映画。
本作の主人公は、過去に一度だけ"泥酔した状態でセックスした"と思い込んでいる、五十路の中年男。前半部で、当時の女の策略に嵌められ、他人の子供を押し付けられたことが判明する。つまり、童貞のままで子育てを強いられた、独身男ということになる。
恋愛弱者（童貞）の時点で何を言っても説得力が皆無になるという、惨たらしい現実を突き付けると同時に、恋愛"強者"の立場にいる人たちも、大きな悩みを抱えていることが説かれていく。優劣を超越したところにある、人間讃歌がテーマとなっている。
主人公の仲間となる人物では、老清掃員（牧村耕次）の人間像に、未来の自分が視えてくる。偉人の名言を引用して、衒学的な振る舞いをすることにより、自身の真っ白な人生から目を背ける。これ、完全に筆者のことではないか。
