肉親の死を受け入れ、死者を弔う。自分にはもっと何かサポートできたのではないか、こうなったのは自分のせいのではないかと自分に厳しく問いかける。その重みが十分に伝わる労作だと感じました。
役者さんが実力派ぞろいで、どのシーンも芝居がびしっと締まっています。それに加えて構図もいちいち面白いし、照明や色使いの深みも味わいどころ。そして次男が亡くなった実家の荒れ果て方のリアルさ。美術さんの功績も光ります。地味ではありますが、じっくり鑑賞できる作品でした。
監督自身の実体験にもとづく物語だそうですが、過度な思い入れを排した点も良かったと思います。
木内みどりさんは遺作になるのでしょうか。今井美樹さんとのシーンは短いながら映画のテーマと重なり、スパイスが効いていてグッと来ました。