三樹夫

インファナル・アフェアII 無間序曲の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.6
前作の前日譚で、ヤンとラウとウォンとサムが11年前から何をしていたかというお話。過去にも何気にこの人たち密接に関わっていたことが明らかになる。前作はウェットな部分もありつつもテンションの高さは維持するエンタメ度高しのソリッドな映画であったが、今作は『ゴッドファザー』を想起させるような、静かで重厚で抒情的な映画となっている。
主役はむしろウォンとサムで、代償としての喪失で、共に大きなものを喪失しウォンは警視にそしてサムは大ボスになる。ヤンとラウもまた喪失を経験している。

前作の暑苦しく雑多で躁的なのは何だったのか、前作では屋上がもはや主人公だったのが、今作では屋上シーンが一つしかなく、前作のような画力のある香港のキメキメのロケ撮影もなしで、どこからともなくハーモニカの音色が聞こえてくるようなブルージーな雰囲気になっている。というか実際ハーモニカ吹いてるんだけど。突然ハーモニカで蛍の光を吹き始めた時は爆笑した。挽歌としてハーモニカを吹きたくなるような、目を細めながら煙草の煙を燻らせたくなるような、そんな映画だ。
途中からアンソニー・ウォンが石原裕次郎に見えてきた。フー・ジュンは船越英一郎に見えてきた。
三樹夫

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