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アル中女の肖像のsonozyのレビュー・感想・評価

アル中女の肖像(1979年製作の映画)
4.5
ドイツの女性映像作家/写真家のウルリケ・オッティンガー(Ulrike Ottinger)の「ベルリン三部作」の1作。

真っ赤なファッションと白いハイヒールの女(役名なし。タベア・ブルーメンシャイン)は一人ベルリン・テーゲル行きの片道チケットを買う。
過去を捨て、自分の情熱を一つのことに集中させる。それは酒。
“飲むために生き、生きるために飲む”彼女が、ベルリンに到着して以降、終日飲みまくるお話。

西ドイツのアート、ファッションシーンのアイコン的存在であったという主人公のタベア・ブルーメンシャイン(Tabea Blumenschein)の魅力。彼女がコスチュームデザインを担当したという七変化のビビッドなファッションの数々。ほぼ無言のまま飲みまくる姿。最高です。

乗っていたタクシーと接触したホームレスらしきカートを押している女性と仲良くなり、彼女の衣装を揃えホテルに泊まらせ二人で飲み歩く。

到着した空港から出る時にすれ違って以降、随所に登場する小人の男性(Paul Glauer)はイマジナリーフレンド的な存在にも見える。

面白いのが、同じ日に空港に着いた3人組の女性。
似たようなチェック柄のファッションで、それぞれ「良識」「正確な統計」「社会問題」の専門家らしい。
タベアたちが飲んだくれている場所に現れ、アルコール依存症問題などを語り合う(笑)。
他にも、ユニークな登場人物や、多彩な音楽も楽しい。

全編飲んだくれ場面ばかりなので、さすがにちょっと飽きる感じもありつつの、このクセ強な実験作的な独特の映像世界。好きです。

原題/英題『Bildnis einer Trinkerin(酒飲みの肖像)/Ticket of No Return(片道チケット)』
ウルリケ・オッティンガーは、脚本/監督及び撮影/セットデザイン/ナレーターも担当。

参考映像
https://youtu.be/J1LdTqALZDM
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