佐藤克巳

白鷺の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

白鷺(1941年製作の映画)
5.0
泉鏡花の艶やかで哀叫たっぷりの世界を堪能させて貰った島津保次郎監督の東宝オールスター級の贅沢な傑作だが、戦後弟子の豊田四郎が再集した原版より30分程度短縮されたものらしい。柳橋料亭のお嬢さん入江たか子が、日本画家の大家高田稔に惚れ込み亡くなった後も形見を離さず、許婚大川平八郎との縁談も断ったが故に家は没落。雇われ女中に身を落とすが、高田の後継者と目される画家黒川弥太郎と相思相愛関係が深まって行く。大川も家から勘当され自営資金の工面を入江に頼むと、入江は義理から芸者に身を売るが待合の女将清川玉枝と背後の成金丸山定夫の借財に苦しむ。見兼ねた黒川の弟河津清三郎が、画商汐見洋を頼ると高田の妻千葉早智子が救済を申し出た。がしかし、入江は、清川と丸山に監禁され簪で喉を突いたが、稲光が炸裂する真夜中の雨中、待合に待つ黒川の側に寄り添う亡霊となって彷徨う。
佐藤克巳

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