たっツん

ヘイターのたっツんのレビュー・感想・評価

ヘイター(2020年製作の映画)
4.3
来ました。新たなクソ野郎が。完全にキマってます。

「ヘイター」(原題「HEJTER」)、アリス・ウー監督「ハーフ・オブ・イット」やノア・バームバック監督「マイヤーウィッツ家の人々」は"優しい作品"であり、サフディ兄弟「アンカット・ダイヤモンド」やアスガー・ファルハディ監督「別離」は"優しくない作品"である。個人的な感覚だとそう分けられる。そして「ヘイター」は"優しくない作品"だ。

冒頭は主人公への陰口から始まる。
叔父一家の夕食会に招かれた主人公は自分が知っている限りのマナーと気遣いでその場を対応する。だがそれなのに主人公が帰った後に一家でその主人公の振る舞いへの陰口大会が開始された。それを主人公は密かに仕込んでおいた録音機(スマホ)で盗聴する。
まず、陰口なんて誰しもが多かれ少なかれするものである。それをわざわざ自分から聞こうとする事ほど愚かなことは無い。
主人公はおそらく自分は冴えていると思っているのだろうが、その行為は完全に悪手。

今作は"主人公は愚かな人"という前提があって楽しむ作品です。
「アンカット・ダイヤモンド」の主人公みたいにね。
厳密に言うとそこには出自の差なども含まれているのですが、客観的に見るとあまりにも"ヤバい"です。
成り上がり精神が善悪を問わないやり方と合わさったとき、吐き気をもよおす程の化物が生まれる。
たっツん

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