実家が農家でベトナム人技能実習生を使っています。
約15年前までは「不法」の中国人を使うことが
近隣の農家で常態化しており、
それを「技能実習生」という欺瞞に満ちた制度で合法化し、
明らかな労働力であるベトナム人を「実習生」と呼ぶ状態が今も続いている。
何が言いたいかというと、
農業や漁業、製造業の現場における労働力は
いまや完全に外国人に依存しているにも関わらず、
彼らは労働者なら当然保証されるべき権利を与えらていない。
そして多くの日本人があまりにもその事態に無自覚で、
彼らがどのように日本で生活していて
どんな問題があるのかまるで興味がない。
その実態に目を向けているというだけで
今作には本当に大きな意義があると思う。
技能実習生の妊娠、出産は本当にリスキーで、
最近でも誰にも知られずに死産した実習生が
死体遺棄で起訴された問題があった。
彼女たちがなぜ妊娠を秘密にしなきゃならないのか?
今作を見ればその理由が見える。
実習先から逃げた彼女たちも、
彼女らを仲介するブローカーも、
悪いことやりたくてやってるわけじゃない。
なぜ逃げる必要があり、仲介のニーズがあるのか?
ブローカーや新しい職場が酷すぎないとこ、
もともとの実習先もひどさが強調されないあたり、
本当にリアルですばらしい。
明らかなわかりやすい悪があるんじゃなくて、
我々の生活の底辺のリアルがこれなのだ。
私は技能実習制度の廃止と、
きちんとした外国人労働者の受け入れ制度を作ることこそ必要だと思うので、
今作の描くリアリティがたくさんの人に届くことを願います。