メランクさん

映画 ○月○日、区長になる女。のメランクさんのレビュー・感想・評価

4.0
私はちょうどこの区長選の2ヶ月後に杉並区民になったのですが、
岸本さんが当選したのはSNSなどで知ってたのでちょっとワクワクしましたね。

それで今作のラストに描かれてる区議選には投票できて、
候補者の段階から女性だらけだったし、
実際に過半数が女性だなんてすごすぎ!
引っ越してくる前の地方都市の市議なんて
90%がおじさんですからね!
やっぱり都市部のリベラル層の多さってすごいと感じました。

とは言え岸本聡子という人について知らないし、
自分の住む区のことなのだからぜひ見たいと思ってたんですが、
なかなかタイミングが合わずにポレポレ東中野にタッチの差で間に合わず、
ようやくシネマチュプキ田端で見れました!

住民自身がよくわからないまま進められる道路拡張工事の計画と、
それを含めて市民の声を聞く区長を求める市民運動。
そういった中で招聘されたのが岸本聡子さんだった。

ヨーロッパで市民活動を行いながらも、
日本を「民主化」させたいという思いを強く持って帰国した岸本氏はほんの数ヶ月で市長に当選したんですね。

街頭に立って挨拶、演説をする中でのダメ出しや、
彼女を招聘した団体とのやり方をめぐる衝突。
ここらへんはなかなかスリリングだったし、
そんなシーンにこそ滲み出る彼女の冷静さと率直さが実に見ていて気持ちいい。
ヨーロッパで生活していたからこその歯切れの良さと、
本質的にはバランサーなんだろうなと感じる部分が見え、
これは本当にいい人を選んだもんだと感じました。

ただ作品としては、せっかく岸本聡子の帰国直後から当選、初登庁までを撮っているので、
もっと本人、関係性、市民の変化を感じたかったと思った。

はっきり言って、それでも母体となる団体と岸本氏本人の方針のズレだけでなく、
実際に議会、区政を動かしていくことの大変さは間違いなくあり、
まさに今も戦っていることでしょう。
ってもう任期の半分が終わってしまっているのね!
おかげさまでだいぶ住みやすい場所です。