miho

ノマドランドのmihoのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
ノマドの暮らしを選ぶしかない人の話。彼らはノマドとして暮らす、さよならのない人生を選ぶことによって、自分の尊厳を保とうとしたり、悲しさに蝕まれずに済むようにしたりする。特に主人公には「ホーム」がない。彼らは、私の目にはハウスレスではなく、ホームレスのようにうつる。彼女自身も多分それを分かっていながら、あえて選んだ道だって主張してるね。でも本当はそうするしかなかったんだと思う。

大事な瞬間はずっと心の中にある。
台詞だとすっと心に染みるのに私が語るとくさいのは、私がまだまだ若いからかなー。主人公の結婚式での詩が真っ直ぐに刺さった。亡くなった大切な人、生きてても今はもう会えない人、毎日会える大好きな人、私の思い出の中では全員が等しく生きていて、私が忘れない限り居なくならない。そんな思い出全てを糧にして日々を過ごしてる。昔に思いを馳せるのは虚しいことなのか。重い人だと思われてしまうのか。さよならなんてないって思うのは、自分に都合良く考えすぎか。

渋い映画だったな〜。この映画を本当に味わうには明らかに人生経験が不足しているので、今の私からしたらこの評価が妥当かな。10年に1回くらいは再鑑賞すると面白いはず。噛み締めるほどに味の出る本のような映画だと思う。
miho

miho