ハヤシ

ノマドランドのハヤシのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
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お世辞にも幸福そうには見えない車上生活に何故しがみつき続けるのか。ファーンがハウスレスとしての暮らしを選んだのは、別の家での生活によって夫と生きた時間の記憶を上書きしてしまうことを恐れたからだろうか。家族との思い出の詰まった物をヴァンに乗せて走る。父からもらった皿を割られて怒ったのは、それが父との別れのように感じられたからか。終盤ファーンはノマドの先達から聞く。「この生き方が好きなのは最後のさよならがないんだ 私はただまた路上で会おうと言う 実際そうなる」「私の場合思い出を引きずり過ぎたかも」彼女の拠り所は思い出の詰まった物たちとの暮らしから、最後のさよならがないというノマドの生き方そのものへ変わったのかもしれない。
ファーンが自分のヴァンにヴァンガード(先駆者)と名づけ、she と呼んでいるのが印象的だった。
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