Haru

ノマドランドのHaruのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.6
アカデミーノミネート映画、超有力作第二弾。
色々と話は聞いていったので大分期待を下げて行ったものの、期待以下でも以上でもなく。

なかなか聞かれないリアルなノマドの声が、こうやって全世界に届いているのは素晴らしい試みだなと思う。あそこまで一般の人から声を引き出せるのは監督の力、スタッフ、キャストの聞く力だと思うし、今全世界的に「不足している力」だと思うのでそこはかなり評価できる。監督賞は取って欲しいな〜

ただ貧困を描くにしても、リアルな高齢者労働形態を描くにしても、かなり中途半端な出来だったのではないかと思う。絶対存在しているはずの有色人種の高齢者がなかなか出てこないし、それはRVを買えるだけの、家族に頼ることのできる環境さえもなくて、「ノマド」という生き方も彼らが選べないからなのか…とも想像してしまった。それこそ聞くべき「声」だと思うんだけどな〜それを皮肉的にアジア系の監督が描いていると聞いて、ちょっとは安心したけども。どうせなら高齢者労働の問題に振り切って欲しかった感は否めない。

キャストがほぼ本物の「ノマド」っていうのも話題だけど、彼らの声はドキュメンタリーでは観てくれて聞いてくれる人が少ないだろうという点で有名なactorを主演に置く必要があった、それでこれだけのノミネートなんだから皮肉だなぁと思う。「ミナリ」と同じく観た後に心の中にモヤモヤが残されてしまうような、そんな映画でした。
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