「幸せ」という名の図鑑の一節を見せられているような感覚になった。
パンが無いならお菓子を食べたいし、たとえ地球で人類が自分一人だけになってもネイル塗ってメイクして髪巻くし、基本的になんでも優れていたい。
苦手なことは運動とお絵かきだけでいい。
チャーミングに見せられない弱みなんていらないし、惹かれるものに常に満たされていたい。
細胞の一つひとつからこういう思考なので、びっくりするくらい一つも共感できないし、もちろん憧れる気持ちも全くなかった。
むしろ観ている間は、こうならないように生きようとか、この人たちのために何ができるかとかばっかり考えてた。
観終わってから気づいた。
共感できるかできないか、憧れるか憧れないか、この生き方がいいか悪いか、一人は素敵か孤独は寂しいか。
それら全部どっちでもいいし、どうでもよくて、まったく共感できない憧れないこの生活を「幸せ」と定義する人も在るということを認識できたことに、最大の観た意味があった。
人間として人間の社会で生きていくうえで一番怖いのは、無知であることに無自覚な状況だと思う。
自分が見ている世界、持っている考えがすべてだと思ってしまうことだと思う。
たとえ共感できなくても、それらは知ることに意味がちゃんとある。