こんな緩やかで切なく、それでいてどこか楽観的にも見える不思議な人間関係があるのか〜ってとても新鮮さを感じる映画でした。
リーマンショックの影響でしたかね。ノマドという流浪かつ出稼ぎの生活を行う主人公や、彼女を取り巻く人々を、ドキュメンタリーチックに描いていました。
この映画がおもしろいのはノマドという、一般的には苦しそうに見える生活を送る人々が、別にそんなネガティヴに生きているわけではないということを強調する点です。
そこでは、家や土地を持ち、親族と暮らす、ある意味ワンパターンな生活を強いられる束縛的生活形態から脱却したかのような自由を楽しんでいたり、そこで出会う様々な人との、次にいつ会えるかわからない出会いを楽しんでいたりと、新たな生活形態の可能性として描かれているのがおもしろかったです。
またさらに、そういった新たな肯定的な可能性を提示する一方、ノマドの生活に伴うマイナス側面もしっかり描いている点にとても好感が持てました。
ノマドの生活か、あるいは一般的な家庭を持つ生活か、それはどちらが良いとか悪いとかなく、どちらも等しく生活形態の一つのあり方に過ぎないということを描いていてとても良かったです。
