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ノマドランドのyusukeのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
数年前に話題になっていたので、年末に視聴。
とても静かな映画。夫の失業と死別を契機に、これまで住んでいた街と家を捨てて、アメリカ西部の各地で季節労働をしながら、バンで寝泊りする生活を送る女性を描いた物語。既成概念としての幸せや成功と、人が本当に求める豊かな暮らし、その両方のはざまで揺れ動く人々がリアルに描かれています。主人公の周りには様々な理由でノマドの暮らしをしている人がいて、達観して充実しているように見えて、どこか満たされない思いを抱えています。
ノマドの人々が醸し出す雰囲気がリアルで半分ドキュメンタリーを見ている気分でした。真の幸せの一つの回答として反資本主義が大きな要素として表現されています。ノマドも、資本主義のシステムで製造されたバンに乗り、レトルト食品を食べて暮らしている時点で、資本主義の歯車であることに変わりはありません。結局お金が無ければ、ノマドも生きていくとはできず、巨大資本の工場で労働力を売って身銭を稼いでいるのです。そこも含めて真の幸せとは、理想の生き方とは、ということを考えさせられます。
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