しろくま

ノマドランドのしろくまのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
アメリカという国は退廃した閉塞的なヨーロッパを抜け出し「自由」や「夢」を追い求めた多くの人々によって作られた国なのだ
ということを前提に考えれば「ノマド」という生き方は彼らに合っているのかも…と一瞬錯覚してしまう
けれども現実はAmazonの倉庫の仕事も国立公園内のキャンプ場の仕事も低賃金で相当キツくブラックな仕事だ
高齢者にとってはなおさらだ
どちらも無料で駐車場が使えるという特典付きでノマドの労働力ありきで成立していて「便利だなあ」と私たちはそのシステムとサービスを呑気に受け入れている
知ってはいるものの目を背けてそれを享受している

強がりな言葉も親類縁者からの温かい申し入れの言葉の拒否も、まるで自由を満喫してそれを望んで選択して暮らしているような描き方だけど、実際には彼らには選択肢などないと本当は分かっている
終始胸が締め付けられる思いだった
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