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ノマドランドのコウのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.2
世間一般がイメージする『自由奔放で刺激的な生活を謳歌するノマドワーカー』とはかけはなれていて

劇中の人物は 皆 心の傷を抱えながら 孤独にそして精神的な救済を求めて暮らしている

かなり好みが別れる作品のように思う
というのも 本作の主人公のファーンは かつて中流家庭で生活する未亡人で年齢も高齢なのだ
そのためSNSでよく見るキラキラした放浪旅とは相容れないものになっている

・社会的繋がりの希薄さ故の孤独
・俗世から離れてもなおも必要とされる社交性
等々 悲観的な側面や不自由を感じる部分も多く描かれていて
本作を見てノマド生活に憧れ抱く人は少ないとおもう。。

ファーンがそれでも ノマド生活を続けたのは
夫を亡くした彼女の心の拠り所が
過去の思い出を繋ぎとめて振り返ることだったから
そのためには 自分の心と正直に向き合えるノマド生活がベストだったように思えた

今の生活を続けることに希望を持てない状況の中ででは まだ見ぬ情景や新しい人たちと交流することこそが
ファーンの尊厳を保つ唯一の手段のように思えた
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